デジタルなら本当に「学力」が伸びるの? ~英語塾から考える「紙・鉛筆・人間」とAIのちょうどいい関係1回目~
2026/08/08
こんにちは。
札幌市清田区で幼児から大人までを対象に英語教育を行っている、マリーズ・イングリッシュ・クラブです。以前のブログでAIでの英語活用について「AI時代だからこそ、・・・これからの英語教育を考える」(5.31)について述べていますが,今回は、東京大学の酒井邦嘉教授の記事(PRESIDENTOnline-SmartNews)で指摘されている「紙への回帰」という考え方を参考に、英語塾の立場から、これからの英語教育について考えてみたいと思います。少し長いブログになりますので2回に分けて掲載します。
1回目
5月31日のブログで述べたように最近、学校教育のデジタル化が急速に進んでいます。
一人一台のタブレット端末を使う授業、デジタル教科書、オンライン教材、そして生成AI。私たちの生活を考えてみても、スマートフォンやパソコン、AIはすでに欠かせない存在になっています。もちろん、教育にデジタル技術を取り入れること自体は悪いことではありません。むしろ、これからの時代を生きる子どもたちにとって、デジタルを使いこなす力は必要でしょう。
しかし、ここで一度立ち止まって考えてみたいことがあります。
「便利になること」と「学力が身につくこと」は、本当に同じなのでしょうか?
「便利」と「学ぶ」は同じではない
タブレットを使えば、分からない単語をすぐに調べることができます。
英語の発音も聞けます。文章を翻訳することもできます。
AIに質問すれば、すぐに答えを教えてくれます。
これは非常に便利です。しかし、ここで注意したいのが、
「すぐに答えが分かること」と「自分の頭で理解すること」は違う
ということです。例えば英語の単語を覚えるとき、「分からないから調べる」という作業を繰り返しているだけでは、その単語が自分の頭に残らないことがあります。
一方、紙の辞書や教科書を使って、自分で単語を書き、何度も読み、ノートにまとめる。この「少し面倒な作業」が、実は記憶を定着させることにつながります。
英語では「書くこと」が意外と重要
英語塾を運営していると、特に感じることがあります。
それは、「分かっているつもり」と「自分で書ける」は違うということです。
例えば、I play tennis.という英文を見れば、「私はテニスをします」と分かる。
ところが、「私は毎週日曜日にテニスをします。」
と自分で英文を書いてください、と言われると急に難しくなる。
なぜでしょうか?
読むときには「見れば分かる」からです。
しかし書くときには、「主語は何?」「動詞は?」「三単現のsは必要?」「every Sundayはどこに置く?」
と、自分の頭で考えなければなりません。この**「思い出して、自分で書く」作業こそが学習**なのです。
「書く」という行為は、単なる作業ではありません
最近は、タブレットに文字を入力する機会が増えています。もちろん、キーボード入力も必要な能力です。しかし、小学生や中学生の英語学習では、
実際に手を動かして英文を書くことも非常に重要だと考えています。
英単語を何度も書く。英文をノートに写す。間違えたところを赤ペンで直す。
もう一度書き直す。こうした一見地味な作業が、英語の基礎を作ります。
「面倒だからAIにやってもらおう」
「翻訳機に入れれば答えが出る」
となってしまうと、一番大切な「自分で考える時間」が失われてしまいます。
英語は「人と人とのコミュニケーション」
もう一つ、英語教育で忘れてはいけないことがあります。
それは、英語は単なる情報伝達の道具ではないということです。
例えば、「Thank you.」という一言でも、笑顔で言うのか、申し訳なさそうに言うのか、
心から感謝して言うのか。声の大きさ、表情、間、イントネーションによって、相手に伝わる印象は変わります。
AIによる翻訳や音声技術は非常に進歩しています。しかし、人間同士の会話には、文字だけでは表現できないものがあります。
だからこそ、英語の授業では、先生と生徒が実際に顔を合わせて話すこと
にも大きな意味があるのです。
では、AIは英語教育に必要ないのでしょうか?
もちろん、そうではありません。むしろ私たちは、AIを上手に使うことがこれからの英語教育には必要だと考えています。
例えばAIは、
- 英単語の意味を調べる
- 英文を翻訳する
- 発音を確認する
- 英作文のヒントを得る
- 自分の英文をチェックする
- 英語の会話練習をする
など、さまざまな場面で活用できます。
問題なのは、「AIを使うこと」ではなく、「AIに考えることまで任せてしまうこと」
ではないでしょうか。
マリーズ・イングリッシュ・クラブが考える「適材適所」
私たちは、これからの英語教育を、
「人間にしかできないこと」と「AIが得意なこと」
に分けて考える必要があると思っています。
|
人間・アナログが得意 |
AI・デジタルが得意 |
|
自分で考える |
情報を検索する |
|
手で書いて覚える |
翻訳する |
|
人と会話する |
発音を確認する |
|
感情を伝える |
文法をチェックする |
|
間違いから学ぶ |
大量の情報を整理する |
|
相手の気持ちを考える |
練習問題を作る |
|
自分の言葉で表現する |
英会話の練習相手になる |
大切なのは、どちらか一方を選ぶことではありません。
「紙が良い」「デジタルが悪い」という単純な話でもありません。
それぞれの長所を生かすことです。
2回目に続く、なお2回目は8月10日に公開予定です。
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